第27章 飴と恋模様【十四松】
あーーー……
「…ど、どうしましたー?朝から不機嫌じゃないですか。レジに立ってる間はせめてにこやかに「黙れハゲ」「またハゲって言った!この子店長に向かってまたハゲって言ったよ!」
何度思い返しても腹立たしい…トド松に引き続き、まだマシだと信じてたチョロ松まで私を裏切りやがったわ!
分かる!?置き去りにされた後、1人虚しく自宅まで帰った私の気持ちが!やり場のない怒りを今日まで溜め込み、今にも爆発寸前な私の心情が!
ぶっちゃけ仕事なんてやってらんないわよ、あああこのフライヤーの中に奴らをまとめてぶちこんで唐揚げにしてやりたい…!ホラー映画もびっくり?知ったこっちゃないわぁぁ!!
イライライライラ…「れ、レジ代わりましょうか?」「いえお気遣い無用ですイライラが増すので視界に入らないでいただけますかハゲ」「あ、はい…(もうハゲでいいや…)」
何よ、なんなのよ!「幼い頃からずっと片思いしてました!」みたいなこと言ってたくせに、全然一途でもなんでもないじゃない!トド松は女の子の知り合いがたくさんいて遊びまくりみたいだし?チョロ松は地下アイドルに夢中だし?よくもまぁ、いけしゃあしゃあと好きだなんだの愛を囁けたものよね!
私が純情だからってバカにしてるとしか思えないわ!確かに騙されたわよ!まんまとほだされたわよ!
ムカつくムカつくムカつく…私だけ恋する乙女みたいにときめいたりして…!
「ー!ー!」
次に会った日が奴らの命日よ!そうと決まればまたデカパン博士に頼んで至高の武器弾薬を作ってもらわなくちゃ「ー?聞こえてないのー?」…ん?
そこでやっと、目の前に人が立っているのに気付いた。
「あ、い、いらっしゃいま…って、十四松?!」
「うん、十四松だよ!お勤めご苦労さまー!」
黄色いパーカーを身に纏った彼が、いつもの天使スマイルを浮かべている。それを見て、さっきまでのドス黒い感情が一気に浄化された。