第16章 両片想い【一松】※
シャワーを浴びた後、私たちはソファーに座って寄り添っていた。
「……ねぇ、どうだった?」
「どう、って?」
「俺との…セックス」
「///あ…え、えっと…」
一気に恥ずかしさが込み上げてきて、言葉に詰まる。というか事後の冷静な時に真面目なトーンでそんなこと聞かれても困るだけなんですけど…!
「クソ松と、どっちがよかった?」
「く、比べられないわよ、そんな…///」
真っ赤な顔を見られたくなくて、思わず俯いてしまう。
今の私は、罪悪感や嫌悪感でいっぱいだった。
成り行きとはいえ、1日に二人の男性と性行為をしてしまったし、かといってどちらにもまだ好きだとは言えず、けど誰にでも股を開く軽い女だとは思われたくなくて…うー、うー…!
「……。俺が嫌いならそう言ってくれていいよ」
「…!嫌いだったらこんなことしないわ!」
「じゃあ俺と付き合ってよ」「っそ、それは…」「ほら」「でも嫌いじゃないの!」
嫌いだと思われたくない。それはやっぱり、彼が好きだから?
恋をしたことがないから気付いていないだけで、このもやもやとした蟠りこそが恋だというの…?
分からない…分からないけど
「一松…私は、あなたたち6つ子のことが、本当は大好きなの」
「…お前…」
「それが恋愛感情かはさておき、ね。優しいあなたたちのことは、昔から大好きで、大切で…だから、求められたら断れない。一松だろうと、カラ松だろうと、他の4人だろうと」
彼が、私の肩を抱く。ぬくもりに身を委ねながら、私は言葉を紡いだ。
「私は、恋をしたことがなくて…恋愛ってあまりよく知らないの。…私を好きなら、教えてほしい。あなたたちを受け入れたいと思うのは…愛しく思うのは、恋をしてるからなのかな…?」
「……」
彼は、答えなかった。
代わりに、まるで壊れ物を扱うかのように優しく、私の頭を撫でる。
「…もう、寝よう。俺ここでいいから、あんたは自分の部屋に戻りなよ」
「一松…」
長い長い夜は、もうすぐ明けようとしていたけれど
少しでも眠りにつきたくて、私は瞼を閉じた…―
***