第16章 両片想い【一松】※
ラブホからの帰り道。家まで送ると言うカラ松と手を繋いで、夜の街を歩いていた。
だいぶ気分は落ち着いてきたけど…ふとした拍子にさっきの行為を思い出しそうで油断はできないわ…
というかまずこの空気がだめね!カラ松ったらホテルを出てから一言も喋らないんだもの。歩く動きもどこかぎこちないし。
適当に話題を振っておこうかしら。そうでもしないと家に着くまで私が堪えられないわ。
「カラ松、何か話して?」
「…い、いきなりすごい丸投げだな。何か、と言われても…」
「なんでもいいから」
「そ、そういうのが一番こま……!」
変なところで言葉を途切らせ、彼は立ち止まって真正面を見据える。不思議に思い私も同じ方向を見やると、見知った人物と目が合った。
「あ…一松?」
紫のパーカーを着た彼…一松がこちらに歩み寄ってくる。マスクをしていて、目だけでは表情は読み取れないけど…なんだか、怖い感じがした。
彼は私たちの前までやってくると、繋いでいる手を見下ろす。
「…それ、随分仲いいんだね」
「え?…あ!ち、違うの、これは!」
慌てて手を離す。カラ松としたことはまだ誰にも知られたくない。なんとか誤魔化さないと…!
「か、カラ松が無理やり!」Σ「え!?」「…ふぅん」
ごめんね、と目で謝ると、カラ松は戸惑いながらも頷いてくれた。ふぅ、ひとまずこれで…
「途中からクソ松とあんたの姿が見えないのに気付いて出てきたんだけど…今までどこにいたの?」
ぎく。
「もう夜なのに、こんな街中にいるとか…怪しすぎなんだけど」
ぎくぎく。
「もしかして…「ちょ、ちょっと二人で話したいことがあってカフェに行ってましたが何か文句ある!?」……カフェ?」
じぃー……
うぅ、疑いの眼差しを向けられてる…!ここでさらに「話って何?」なんて追及されたらもうだめ!言い訳が思い付かないわ!
しかし、そんな私の心配とは裏腹に、彼はあっさり折れてくれた。
「…まぁ、いいけど。ねぇ、もう帰るの?」
「え?そ、そうね、帰るところよ」
「…おいクソ松、彼女は俺が送るからお前は先帰ってろ」
…へ?