第7章 6 Melody.〜天side〜
「っ……大きな声出さないで」
「嫌だ!オレには素直に言ってよ……!!」
「……言ったって彼女は出てこない」
「そうかもしれない……でも1人で抱え込んでたら天にぃが潰れちゃうだろ……!」
陸が優しいせいで全てを吐き出してしまいそうだ。
苦しい事も辛い事も……
本当は乗り込んでまでに会いたいと思ってる事も……全部全部言ってしまいたくなる。
けどグッと堪えるしかない。
こんな所で言ったら大騒ぎになるのはわかってるから。
「……周りに惑わされないでって伝えて」
「自分で直接言って!絶対姉を連れて来るから……!」
「やめて」
「でも……!」
「陸、身体に障るから早く帰って寝たほうがいいよ」
「天にぃ……!!」
「おやすみ」
これ以上陸といたら自分が壊れそうな気がした。
だからさっさと話を終わらせて背を向けたけど……ボクの心は掻き乱されたままで落ち着く様子がない。
おまけに手まで震えだした。
(……キミは今何を思ってるの)
少し離れた場所から後ろを振り返る。
そこにが居るのに声すら聞けなかった。
こんなに虚しくて……こんなに悔しくて……こんなに悲しい事があるだろうか。
「……おやすみ」
このたった一言でさえも……今はまだ届かない……。
◆6 Melody.END◆