第6章 5 Melody.
デビュー曲を貰ってから数日後。
歌詞はなんとか覚えた。
だから今は振り付けを教えてもらっている最中。
後社長さんや万里さんの話では、今日私にマネージャーがつくそうだ。
(どんな人かな……出来れば女の人の方が……)
克服するんじゃないのかよ!というツッコミがあちらこちらから聞こえてくるよう。
でもマネージャーって、仕事中は大体いつも一緒。
他の芸能人と共演してない時くらいは安らぎたい……。
(って、それも甘えか……。もうどっちだっていい!)
「ごめんねー遅くなって」
「あっ、社長……!」
「連れて来たよ。キミのマネージャー」
「はじめまして」
「はっ、はじめまして……!」
(男の人だった……っ)
どっちでもいいって思ったけど、いざ目の前にすると怖くて身を縮めてしまう私。
黒髪短髪。
キリッとした目に大きな身体。
ついでに言うと結構イケボ。
見た目かっこいい部類に入るような人だ、この方は。
でも中身はわからない。
警戒しなければ……。
「じゃあ後は頼んだよ」
「はい、社長」
(うぅっ……早速2人きりにするのね……)
「さん」
「は、はい……っ」
(いきなり下の名前っ……マネージャーってそういうものなのかな……っ)
「簡単に話は聞きました。男性恐怖症のようですね」
「は……はいっ……」
(もう知ってる……)
「大丈夫ですよ。おれはあなたに手は出しません。だから安心してください」