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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第5章 4 Melody.〜天side〜




〝ごめん……。こればかりはオレの口からは言えないんだ……〟



電話を切った後も、陸が言ったこの言葉が頭の中をグルグルと回り続ける。


何を隠してるの。
どうして言えないの。


あんな手を使ってまで彼女の存在を教えてきたくせに……今更秘密にする必要が何処にあるの。



(……けどあれしか考えられない)



自分の中で思い当たるのは会えなくなった理由。
もしそれなら、確かに陸の口から言うのは間違ってるなと思う。


……しかし怖いというのがどうしても結びつかない。
あの日、ボクは特に怒って怖がらせたりなんかしてないから。

寧ろ「待ってる」って、が来るのを楽しみにしてたくらいだ。



(考えたって仕方ない。知りたいなら直接本人に……)



本人に聞くーー。

今はまだ会えないとは言っているらしいが、声くらいなら大丈夫だろう。


しかしボクはの連絡先を知らない。
昔の番号はもう繋がらないし。



(……いや、やっぱり電話じゃダメ)



ボクにとって会えなくなった理由というのはとても大事な話。

好きな子がいきなり顔を合わせなくなった。
いきなり居なくなってしまった。

これ……当時の自分にはかなりこたえた。



「……」



いや、それは今でも続いている。ボクの心にはまだがいるから。
彼女の名前を口にするだけで胸が苦しくなるくらい想ってる。


いっそちゃんと突き放してから消えてくれれば、こんなに痛い思いをしなくて済んだかもしれないのに。

姿を消しても尚ボクを掴んで離さないなんて……はズルすぎる。

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