第39章 38 Melody.〜天side〜
ボクは医者じゃない。けど手当てくらいさせてほしい。
だからそっと……初めて抱いた時のように優しく触れる。
早く治るようにと思いを込めながら。
「あ、ありがとうやってくれて……」
「別に。キミよりは上手く巻けると思っただけ」
「なっ……!」
(クスッ……)
「今日はもう寝なよ」
「え……」
「おやすみ」
裾を戻し、軽く微笑んだボクはの前で立ち上がった。
けど彼女は「待って……!」と言って、服を掴んでくる。
明らかに寂しがってるのが見て取れるけど……ツアーを控えたこの時期に長居はしてられない。
「あ……ご、ごめんなさい。気をつけて帰ってね……!」
(無理に笑わないで)
「……ツアーが終わったら––––」
「え……?」
「ツアーが終わったらまた会いに来てあげる。それまで––––」
「あ……んっ……」
「これで我慢して」
ほんの少しだけ重ねた唇。
深くしたらボクが抑えられなくなりそうだから、ここは軽いやつを1回だけ。
我慢してなんて言ったけど……暫くはボクも一緒に我慢だ。
◆38Melody.END◆