第4章 3 Melody.
賑やかに唐揚げ弁当を食べた後、今日はオフだったみんなが部屋を大移動してくれて……今は自分の部屋の中。
外はもう夜の闇に覆われている。
ちなみにここは角部屋だ。
大和さんは「俺あの部屋あんま譲りたくねーんだけど」って、最初だけ渋っていたけど。
(明日からレッスンか……)
片付けも終わり、やる事がなくなった私は窓の外をぼんやりと眺めながらこれからの事を考える。
マネージャーも近いうちにつけてくれるらしい。
(それにしても陸……どう思ったかな……)
部屋の移動が始まる前……お弁当を食べ終わる頃、陸と2人だけで話をしていた私。
「姉、ちょっといい……?」と言う陸に着いて行って、彼の部屋で。
そこでの会話を今一度思い返す。
「連れ出してごめんね」
「ううん」
「えっと……」
「うん……」
「あ……ははっ……沢山話しようと思ったんだけど、いざ2人になると上手く出てこないや……」
「な、なんでもいいよ……?」
「えっ……じゃ、じゃあえっと……姉はどうしてアイドルになろうと思ったの……?」
「あ……それは……」
ここ、言っていいのかどうかかなり答えに困った。
天に会うためなんて言ったら……「オレは?」って傷つくかもしれない。
だからどう言えば上手く伝えられるかって、暫く頭の中で考えたけど……陸は「わかってるよ」とでも言うように優しい口調でこう口を開いた。
「天にぃに会いたかった……?」