第37章 36 Melody.〜天side〜
そんなこんなで戻ってきたボクのスマホ。
「お前、素直にを返せって言えないのか?」と言う楽を無視して耳にあてると……既に電話は切れていた。
暴れていたせいで指が画面に触れたのか、が切ったのかはわからないが……とにかく繋がっていなかった。
その瞬間真っ黒なオーラが身を包んだのが自分でわかったけど、こんな終わり方は嫌だから……ボクはまたかけ直す。
「ん……天……?大丈夫……?いきなり切れたけど……」
「……まあね」
「って……機嫌悪い……?」
「楽が横取りしたせい」
「もう取らねぇよ」
再び耳にしたの声は眠たげ。
聞いてみると、今日はもうかかってこないと思って寝ようとしていたらしい。
だったら申し訳なかったなと思うけど……ふにゃっとした喋り方が可愛くて、つい話しかけてしまう。
「ねぇ、ライブの席のランク……どこ?」
「んー……1番良いとこ……」
(正面辺りか……)
「そう。もしかしたら目が合うかもね」
「天からは……ふぁぁぁ……わかんないよぉ……」
(……確かに照明のせいで見えにくい)
「クスッ、眠そう」
「うん……」
「ツアーが始まっても、時間が取れた時は連絡してあげる。今度は無視しない事」
「んー……」
「返事」
「……」
(……肝心なところで寝られた)
そういえばの寝顔は久しく見ていない。
小さい頃見た時はそれはもう可愛くて……眺めながら1人で笑ってた記憶がある。
成長した今は……一体どんな顔をして眠るのだろう。
いつか見ていたい。
「寝たのか?」
「うん……寝息が聞こえる」
「っ……またそんな優しい顔しやがって……」
「龍は?」
「潰れに潰れて、あいつも夢ん中だよ」
「……そう」
「お前……相当に惚れてんだな」
「……そうだよ。大好き……」
「っ!!ったく……素直になったらなったで怖えな」
「シッ。が起きる」
「だったら早く切れよ」
「……いや。もう少しだけ……」
もう少しだけ……寝息を聞いていたい……。
◆36 Melody.END◆