第36章 35 Melody.
天の話によると、北海道から沖縄まで全国を回って歩くそうだ。
それを聞いた私は寂しくなるどころかワクワクしてしまう。
TRIGGERさんの活躍は、自分が事務所入りする前からよくチェックしていたけど、ライブだけはどうしても都合がつかなくて行けてなかったんだ。
だからそのツアー、東京公演を是非観に行ってみたい。
「天!チケットはいつから予約できる?!」
「興奮しすぎ」
「ねぇいつ?!」
「来月から」
「うわぁ……!絶対手に入れる!」
「そんなに来たい?」
「うん!TRIGGERさんのライブ、一度でいいから観てみたかったの!」
さっきまでの羞恥心はどこへやら。
またもや胸を押し付けているのに、今の私はテンションが高いせいで全く気付いていない。
時折天が「やれやれ……」といった様子で息を吐くけど、頭の中はライブでいっぱいで……それすらも気付かなかった。
「ならサービスしてあげる」
「サービス?どんな?」
「さあ……」
「えっ、秘密にするの?!」
「以前キミにやられた事を返すだけ」
「やられた事……?」
(わ、私何したっけ……)
「知りたければチケットを手に入れて。キミにもファンにも……最高のステージをみせてあげる」