• テキストサイズ

【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第32章 31 Melody.〜天side〜




「っ……」
(かっこ悪い……)



逃げてしまった。
呼び止めていたのを知っていながら、あからさまにを避けてしまった。


あのままずっと居たら……彼女に八つ当たりしてしまいそうで怖かったんだ。



「ちょっと天!私が言った事もう忘れたの?!撮影以外であの子に近づくなって言ったじゃない!」

(いつからこんなに嫉妬深くなったの……)

「聞いてるの?!」

「……はい」

「んもう!次やったら承知しないわよ!」



なんだか心に風穴が開いたような感覚だ。

逃げてきたばかりのくせに、どうしようもなくを欲している自分がいる。


もっと良い顔を見せて。
ボクの事もドキドキさせて。

……他なんていいでしょう。

ねぇ……ボクだけを夢中にさせてよ……。


表では決して表せないこの気持ちは……ボクの中で少しずつ闇に変わっていく。



「それじゃあ撮影入りまーす!スタンバイお願いしまーす!」

「天、いってらっしゃい」

「……はい」



それぞれマネージャーの元を離れ、セットの中へと足を踏み入れるとボク。

ちょっとだけ不安そうにしていたけど、位置についた途端に彼女の顔付きは真剣なものへと変わった。


でもそれはボクも同じ。
仕事は仕事できちんと線引きをする。



「……さん」

「えっ……?」

「ボクを誘って」


/ 395ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp