第29章 28 Melody.〜L〜
「呼吸を意識する事。いい?」
「わ、わかった……っ」
いよいよこの時が……天とひとつになる時がきた。
彼は私の髪を梳きながら、柔らかい笑みを向けている。
下の方はシーツの陰になって見えないから、ちょっと怖さを感じるけど……
天の微笑みを見てると不思議と安心できた。
「いっ……たいっ……!」
けど受けた痛みは想像を遥かに超えていて……思わず身体に力を入れてしまった。
やだっ……お願い抜いてっ……。
咄嗟にそう思う。
もう痛くて痛くて……ついには涙が滲んできた。
「っ……泣かないで……」
そんな私の涙を、天は指でそっと拭ってくれる。
優しさを感じて胸が温かくなったけど……瞼を上げたその先に見えたのは、何故か苦しそうな顔をしている天だった。
どうしてそんな顔するの……?
何がどうなってるのか……私には全くわからない。
「天っ……」
「ごめん、今の痛かったでしょう……っ」
(まだ辛そう……なんで……)
「っ……けどもう少し我慢して……」
(あ……もしかして……)
天も痛いの……?