第29章 28 Melody.〜L〜
「待って!!」
「っ……!」
(いきなり抱きつかれた……)
「お願いっ……待って……っ」
(……この強がり)
やっぱり手は出せないって思ったから、ボクは立ち上がって背を向けたんだ。
なのには、後ろから腕を回してキツく抱きしめてくる。
「行かないで」って、泣きそうな声で言ってくる。
震えてるくせに……。
「……ねぇ」
「っ––––!」
「本気にするよ」
しかしあっという間に形勢逆転。
は今、ボクと壁の間にいる。
いくらキツく抱きしめていたとはいえ……彼女には隙がありすぎた。
だから容易に腕を掴めたし、近くの壁に背中をつけさせる事が出来たんだ。
(その目……)
そして向かい合うとボク。
逃げ出す素振りは全く見せず、真っ直ぐにこちらを見つめるからは強い意思を感じる。
……いや、本当はから抱きついてきた時点でわかってた。
恐怖なんてなくなったかのように、なんの躊躇いもなく飛びついてきた時点でわかってた。
もう……覚悟を決めたんだと。
「うんっ……」
「何言われてもやめないよ。それでも今と同じ返事が出来る?」
「うんっ……だから引き止めたんだもん……っ」
「……そう」
(流石に限界……)
「でも私……ちゃんとやるのは初めてで、そのっ……」
「ボクが乱暴にすると思う?」
「お、思わないよ……!そうじゃなくて……っ」
(言いたい事はわかってる……)
「なら部屋を暗くしてあげる。それならいいでしょう?」
「っ……うんっ……」
(そういえば……)
「……ねぇ」
「な、なに……?」
「今日、まだ言ってなかった事がある」
「え……?」
「」
「あ……」
「好きだよ……」