第28章 27 Melody.
嘘なんかついてない。
私は思ってる事を全て素直に打ち明けた。
そうしたら天が急にソッポを向いちゃって……更には口元に手を当てて何かをブツブツ言ってる。
その横顔は……ほんのり桜色。
「天……?」
「っ……何言ってるの。ボクはボクって当たり前でしょう」
「あ……えっと……」
「大体キミを迷惑だと思ってたら、こうして攫ったりしない」
「……っ」
(な、なんて言えば……)
「……バカ」
私はおかしいのかな。
拗ねたように小さく「……バカ」って言った天が凄く可愛く見える。
いつもの雰囲気とは全然違くて、なんかこう……子供っぽい。
……ううん、子供っぽいとはまた違う。
やはりこの子は年下だなって思わされる一面……と言った方がいいかも。
(どうしよう可愛すぎる……っ)
「……何か飲む?」
「えっ……?」
(いきなり何……?)
「夕食は?」
「あ……ううん、まだだけど……」
「なら何か食べていきなよ。作ってあげる」
しかし次に目が合った時には元の天に戻っていた。
さっきの話はもういいのかなと思うけど、彼は「こっち」と言って場所を移動しようとする。
ここはとりあえず言う通りにするしかなさそうだ。
(ていうか今気づいたけど……その九条って人はどこにいるんだろう……)