第26章 25 Melody.
「大丈夫だよ陸。天の事は今でも大好きだから」
「ほ、本当……?」
「うん。天は天だもん……これくらいで嫌いになんかならないよ」
––––私は嘘をついた。
でも天の事が大好きというのは本当。
何年も想い続けてきたんだ、そう簡単には変わらない。
ただ……彼の彼女だって胸を張れない感じ。
あんなに素敵な人が私の彼氏だなんて……今じゃ申し訳なくてたまらない。
私のどこが好き……?
どうして好きになってくれたの……?
私と関わるとろくな事ないのに……。
天にはもっと違う女の子の方が……。
なんて考えたくもない……いや、考えちゃいけない事ばかりが自分の中で広がっていく。
(バカバカバカッ……私のバカッ……)
天の気持ちを無視している今の私は最低。
好いてくれているのはわかってるのに……他の子の方がいいだなんて、自分はどういう神経をしているのだろう。
彼の想いを踏みにじりたくない。
けどどうしても負の考えばっかしてしまう。
(天っ……)
好きだけど自分じゃダメなんだ。
だから別れよう。
そんなシーンよく漫画とかでみたりするけど……読む度に「なんでそうなるかな」って思ってた。
お互い好きならいいじゃんって。
だけどまさか自分が同じ立場になるなんて思ってなかった。
こんなに苦しいものだなんて知らなかった。
今はまだ話を聞いて時間がそう経ってないから、こうやって考えてしまうだけなのかもしれない。
冷静になって気持ちを落ち着かせないと……陸が言ったみたいに関係がこじれるかもしれないから……
暫くは……天と2人では会えない……。
◆25 Melody.END◆