第25章 24 Melody.〜天side〜
と、2人からプレゼントを貰ったところでボクも陸にプレゼントを渡した。
陸の病気を緩和できるようなグッズや飲み物。
それに読書家だから、好きそうな本を1冊……。
昔はいつもプレゼントが被っていたけど今回は違ったなって……目を輝かせて本を見つめる陸を見て思った。
(さっきの帽子……が陸にアドバイスしてくれたみたいだね)
「気に入った?」
「うん!面白そう!ありがとう天にぃ!」
忙しい時間を割いて買いに行ったから、別に大した物じゃない。
なのに陸はとても嬉しそう。
まじまじと本を眺めてはニヤついて……「早速夜読むよ!」なんて言ってる。
「よかったね、陸」
「うん!オレすっごく嬉しい!」
とまあ……ここまでは和やかに進んでいった。
騒ぎに騒ぐ他の人達を眺めながらたわいない話をしたり。
……けどの何気ない一言で、3人の間にピンとした空気が張り詰めてしまった。
「やっぱり2人は、名前は違えど兄弟だよね」
彼女は何も知らない。
だから可愛い笑顔を見せて、ボク達にそんな事を言ったんだ。
しかしこっちは違う。
九条さんについて行ったあの日、陸とは目の前でさよならを告げた。
だから陸は全て知ってる。
それは当然ボクも。
「姉……」
「前から気になってたけど、2人を見てたらなんかいいかなって思えてきちゃった」
「……姉、あのね……!」
「陸、待って」
「天にぃ……」
(今話すような事じゃない。……けど話すなら今しかない)
「ボクから話す。陸、どこか静かな部屋に案内して」
◆24 Melody.END◆