第3章 2 Melody.〜天side〜
〝天にぃ!ウチに姉が来たよ!〟
陸からきたラビチャを眺めながら眉間にシワを寄せるボク。
が来たなんてそんなの嘘に決まってるでしょう。
会えなくなってからもう何年も経っているのに、今更近寄ってくる筈がない。
しかも小鳥遊事務所に来た?
という事はそこと契約してアイドルに?
だとしたら余計信じられない。
「なに難しい顔してんだよ」
「……別に」
「もしかして車に酔った?」
「違う」
今は移動の車の中。酔ったことなんて一度もない。
なのに忘れたのか、素で尋ねてきた龍に少しイラっとする。
顔を顰めているのは車酔いのせいじゃない。
今見てる陸からのラビチャに苛立ってるんだ。
……なんて言うとしつこく聞いてきそうだから、ボクは1人でモヤモヤを抱えている。
(……あれから返信がない)
「実は酔ったんだろ。さっきからずっとスマホばっか見てっからだよ」
「だから違うって言ったでしょう」
「じゃあなんだよ」
「うるさい黙って」
「アァ?」
どういうつもりで陸はこんな嘘を送りつけてきたのだろう。
ボクがに会いたがっていたから?
の事ずっと心配していたから?
……陸は優しくて良い子。
なのにどうしてこんな辛い嘘を言ってきたのかサッパリだ。
(陸……後で説教だよ)