第24章 23 Melody.
「お疲れ様でした大和さんっ!!」
そして撮影終了後。
スタッフが片付けをし始めても、興奮がなかなかおさまらない私は勢いよく挨拶をした。
真剣な場の空気。
生の演技。
監督の怒号。
どれもこれも私にとったら新鮮で興味深いものだったし、あの大和さんでさえ真剣に挑んでいた。
ドラマの世界がとても気になる。
「どーも。それで、なんか収穫できたか?」
「はい!!もう全てが魅力的で!やってみたいです!」
「そう簡単に言うなって。甘くないよードラマは」
「そうなんですか?」
「そりゃそうだろ。セリフ頭に叩き込んで、その場その場に合った感情を引きずり出さなきゃなんねーんだし。正直やってらんねーわ」
とか言う大和さんのバッグから覗いている台本。
それはかなり読み込まれているようで、紙が擦れている。
なんだかんだ言いつつも、この人はちゃんとやっているのだ。
(流石だなぁ……)
「でもいつかは私も出演してみたいです!通行人からでも!」
「いや、そこはお兄さんの代役で」
「えっ?!」
大きなコネ持ってるからそれくらい簡単よ?と、半分本気に聞こえるセリフを言う大和さん。
焦って戸惑う事しか出来ない私を見て笑う彼は、逆に余裕そう。
(コネ……っ)
「冗談だって。まあそんなに興味があるなら、ここにいるスタッフさんにでも挨拶しとけよ」
(そ、それはそうかも……)
「は……はい、そうさせていただきます!」