第22章 21 Melody.
(天……!)
結び目に手を伸ばしたまさにその時。
明らかに不機嫌そうな顔をした天が、私達の目の前に現れた。
彼の登場により、今までギャーギャーとうるさかった寮内が一気に静まり返る。
「……解いたらダメでしょう」
(声が低いっ……)
「す、すみません……」
「……へぇ、情けない格好」
「テメッ……こいつに変な事命令すんな!!」
「今なら意地悪し放題だね」
「すんじゃねぇよ!おい龍、お前からも何か言っ––––」
「ん〜?ああ天じゃないか!めんそーれ!」
「……うみんちゅうみんちゅ」
って呆れたように返した天は、2人の前にしゃがみ込んで指でツンツン弄りだした。
……しかも真顔で。
嫌がる楽さんは「バッ!やめろ!」
楽しそうな十さんは「あははは!」としか言わない。
「……ねぇ、何しにここに来たの」
「……龍と呑みに行ったんだよ。そしたらこいつガバガバ飲んで……この通りだ」
「だから何?理由になってない」
「っ……そいつに会いたいって聞かなかったんだよ」
(……え?)
楽さんがクイッと顎を向ける。
その先にいたのは私で、天も顎が示す先を辿ってこっちを振り返った。
十さんが私に会いたい理由なんてないはずなのに……どういう事だろう。
「……さん?」
「ああ。今日MV観たろ。その話題になった瞬間に……」
「ちゃ〜ん!会いたいな〜!!」
「……って騒ぎ出したんだよ」
「あ〜!もう会ってる!あははは!」
「っ……うるせぇ!!お前は少し黙ってろ!」