第20章 19 Melody.
「……キミが大丈夫って言うまで待っててあげる」
そしてやっと口を開いた天。
その優しい口調から、あの沈黙の中で一体何を考えていたのか……私は全て察した。
彼の優しさが嬉しくて……視界が歪んでくる。
(私ってば泣いてばっかり……っ)
「……泣かないで」
「っ……」
「電話じゃ拭ってあげられない」
(そんな事言わないでよっ……余計出る……っ)
「……ねぇ、早く涙止めてよ」
(無理っ……)
「こんな時間に……また会いに行きたいなんて思わせないで」
泣いちゃうのは天が優しいせいだよ。
天が嬉しいことばかり言うせいだよ。
サマフェスでも大泣きして……今日は朝からMV撮影なのに……これじゃ瞼は腫れっぱなしだ。
「っ……私は会いたいよっ……」
「我慢して」
「天っ……会いたいっ……凄く会いたい……っ」
「しつこい。何回同じ事言うの」
「っ……」
多分今なら怖いと思わない。
だって〝好き〟が大きくなりすぎて抱えきれなくなってる。
会いたい。
抱きしめてほしい。
キスしたい。
って、心から強く思う。
(次はいつ会えるのかなっ……)
今度2人きりになれたら言おう。
大丈夫だよって言おう。
もう……苦しそうに顔を顰める天の姿は見たくない。
いつになるのかはわからないけど……その時が来たら必ず。
そう誓った夜となった。
◆19 Melody.END◆