第14章 13 Melody.
天がライブの話を聞いた日から少し遡り、時は収録後の夜。
なんとか気持ちを落ち着かせ、私はIDOLiSH7の仕事を見学しに行った。
ちょっとでも気を緩ませると泣きそうになったから……この日はずっと無理に笑っていたと思う。
(疲れたな……)
みんなと寮に戻ってからも「何が食べたいですかー!」って、率先して身体を動かしていた私。
そうでもしてないとみんなの前で泣き崩れそうだった。
しかしこうして1人で部屋にいると、夜の雰囲気もあってかまた涙腺が緩んでくる。
「っ……」
離れていたこの6年間、天の事を想わなかった日は一度もなかった。
いくら恐怖を抱えていても、彼に対する好意はそう簡単にはなくならない。
それ程私は天の事が好きで……本気なんだ。
だからこそ天に置いて行かれた時……胸が張り裂けそうなくらい辛く感じた。
悪い事をすると自分に返ってくると言うけど……その通りだ。
(会いたくなかった筈なのにっ……)
「天っ……会いたいよ……っ」
「……姉、いる?」
「っ……陸……?」
「もう寝ちゃう……?ちょっと話したいんだけど……」
(涙拭かなきゃ……っ)
「ん……いいよ、どうぞ」
「ありがとう。お邪魔します」