第13章 12 Melody.〜天side〜
しかしマネージャーはずっと不満そうな顔をしている。
無名だったの為にボク達が色々と動いた事が気にくわないんだろう。
でも根っこの根っこは優しい人だって知ってる。
だからフォローの件も、渋々とだが頭を縦に振ってくれた。
「どうせめちゃくちゃにするに決まってるわ!TRIGGERを巻き込むような事になったらタダじゃ済まさないわよ!」
「……姉鷺さん」
「なによ天!」
「そのライブ……彼女をしっかり観ててください」
「どうして私がしっかり観なくちゃいけないのよ。私がしっかり観るのはあなた達よ」
「まあそう言わないでください姉鷺さん。あの子はきっと素敵なステージにしてくれます」
「ちょっと龍まで何を言ってるの!」
「主催者が気に入るくらいの実力はある。観て損はねぇだろ」
「っ……あの女に洗脳されたのね?!こうなったら事務所に直接文句言ってやるわ!」
「……待ってください」
「んもう!今度は何なのよ天!!」
「文句を言うならライブの後にして下さい」
の実力をみれば、きっとマネージャーも納得してくれる。
生だとまた印象が変わるはずだから。
けどマネージャーの考えを変えるには、キミに全てかかってる。
ライブは1発勝負だからやり直しなんてきかない。
ボクを見てももう固まらないで。
会場を……そしてボク達を、キミの力で魅了させて。
「っ……わかったわよ!とりあえず今の所は黙っててあげるわ。……じゃあ私は社長に話があるから、あなた達は大人しく待ってなさい」
「……お前、よっぽどあいつに惚れてんだな」
「今は関係ない。ボクはただ観てもいないのに初めから決めつけないでって言いたかっただけ」
「そうか?俺にはあいつを守ってるように聞こえたけどな」
「……何それ」
ねぇ。
例の番組放送から数日経った今……キミは何を思ってる?
ライブの話を聞いてどう思った?
あの時は話の途中だったでしょう。
でも先ずはライブを成功させるのが先。
キミの色で会場を染めて。
その後ボクはキミを攫い行く。
だから……
〝私はずっと……っ〟の後なんて言おうとしたのか……今度はちゃんと聞かせて……。
◆12 Melody.END◆