第13章 12 Melody.〜天side〜
〝本当はずっと……っ〟
は目に涙を溜めて、切なそうにこっちを見ていた。
その姿が離れない。
いつまでもボクの目の前にいる。
ここはもう車の中なのに……思わず手を伸ばしてしまいそうだ。
(何を言いたかったの……)
「なあ天。あいつと何してたんだ?」
「……なにも」
「なにもって事はねぇだろ。連れて帰るって言っときながら全然戻って来なかったじゃねぇか」
「……一時的な発作を起こしてた。だから付き添ってただけだよ」
6年前の話を聞いて……正直どう反応したらいいのかわからなくなるくらいショックを受けた。
……いや、ショックという言い方は違う。
なんともいえない感情が生まれて……自分でも混乱してるから上手く説明しにくい。
「発作……?ちゃんは陸くんと似た病気を持ってるのか……?」
「違う」
「そうか……ならいいんだけど……」
「で、その発作はおさまったのかよ」
「……とりあえずね」
(もしかしたらあの後……)
落ち着いた事は落ち着いた。
けどまた呼吸を乱しているかもしれない。
あの日の真相……それを話すのは、にとってとても勇気がいる事で……そして辛いものだっただろう。
……聞いてる間ボクは何も言えなかった。
あんなに潰れそうになってたを1人にして……結局は役立たずで終わった。
自分は男だし、側にいたら余計怖がらせてしまうかもしれないけど……
今孤独にはさせたくなかった……。