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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第12章 11 Melody.




「……ならいい」

「っ……!!」

「……!なんで泣い、」

「っ……イヤっ!!」



今の状態を見られたくなかった。
天にだけは見られたくなかった。

ろくに話せもしない……こんなガタガタの姿は見られたくなかった。


だから抵抗してたのに……いきなり前へと回り込んでくるなんて……。

涙も震えも……それから恐怖も、もう全部見られてしまった。



「……震えてる。何があったの」

「ハァ、ハァッ……来な、ハァッ……来な、いで……っ」

「話して」

「嫌っ……ハァッ……イ、ヤ……っ」



無理だ。
頭も心もグチャグチャでは、やはり話す事は出来そうにない。


どうにかして切り抜けないと。



「……落ち着いて、ゆっくり息を吸って」

「いっ、いい……っ」

「よくない。早くやって」

「やっ……ハァッ……やらないって……ハァッ……言ってるでしょ……!!」



人は都合が悪くなると開き直り、怒鳴って周りより優位に立とうとする。
所謂逆ギレってやつだ。

そんな事されていい気分になる人なんかいない。


なのに私はしてしまった。
今出る精一杯の声で……天に怒鳴りつけてしまった。


やった後じゃもう遅いのに……後悔でいっぱいだ……。


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