第12章 11 Melody.
「……ならいい」
「っ……!!」
「……!なんで泣い、」
「っ……イヤっ!!」
今の状態を見られたくなかった。
天にだけは見られたくなかった。
ろくに話せもしない……こんなガタガタの姿は見られたくなかった。
だから抵抗してたのに……いきなり前へと回り込んでくるなんて……。
涙も震えも……それから恐怖も、もう全部見られてしまった。
「……震えてる。何があったの」
「ハァ、ハァッ……来な、ハァッ……来な、いで……っ」
「話して」
「嫌っ……ハァッ……イ、ヤ……っ」
無理だ。
頭も心もグチャグチャでは、やはり話す事は出来そうにない。
どうにかして切り抜けないと。
「……落ち着いて、ゆっくり息を吸って」
「いっ、いい……っ」
「よくない。早くやって」
「やっ……ハァッ……やらないって……ハァッ……言ってるでしょ……!!」
人は都合が悪くなると開き直り、怒鳴って周りより優位に立とうとする。
所謂逆ギレってやつだ。
そんな事されていい気分になる人なんかいない。
なのに私はしてしまった。
今出る精一杯の声で……天に怒鳴りつけてしまった。
やった後じゃもう遅いのに……後悔でいっぱいだ……。