第11章 10 Melody.〜天side〜
「……っ」
(大声出して……そんなに会いたくなかったの……)
「何を言ってるんですかさん……!!す、すみませんTRIGGERさん……どうやら疲れが出たようで……」
いや、はボクだけに言ってる。
「お願いっ……帰って……っ」って、ボクに伝わるように言ってる。
……最初からこうなるってわかってた。けど一応まだ仕事の時間。
先輩に向かって帰れだなんて……失礼にも程がある。
「……キミ、礼儀を知らないの?」
「っ……」
「まだデビューしてない分際で、その口の利き方は何」
「お、おい天……よせって……!」
「龍は黙って。……聞いてる?さん」
「や……めて……っ」
「礼儀も知らないようじゃこの世界ではやっていけない。これ以上周りに迷惑をかける前に辞、」
「イヤっ!!聞きたくない!!」
「お、おい!待て!!」
……わかってる。
が聞きたくないって言ったのも、控え室から飛び出して行ったのも……全部理由はわかってる。
……ねぇ、ボクの声でしょう。
ボクの声を聞きたくないから逃げたんでしょう。
でもキミにはまだまだ言いたい事がある。
このまま遠くには行かせない。
「……少し失礼します」
「どこに行くんだ天!」
「彼女を追いかける。龍達はここで待ってて」
「だったら俺達も探すよ!局内は広いから……!」
「ああ。見つけたら連絡よこせ」
「……来ないで」
「何言ってんだ!この中を1人で探すのは無理だろ!」
「いいから来ないで。……ボクが必ず連れて帰る」
◆10 Melody.END◆