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【アイナナ/R18】Melody.【九条天】

第10章 9 Melody.




番組はずっと和気藹々に進んでいった。
まあほぼ百さんと千さんのコントみたいな感じだったけど。


でも2人が本当に楽しそうにしてたから、私も自然と笑顔でカメラの前にいることが出来た。



「ねぇねぇ!セッティング出来たって!」

「じゃあちゃん、よろしく」

「はい……!」
(いよいよだっ……)



そしてこれからデビュー曲を披露する。
局入りした時よりは緊張が少ないから良い感じでパフォーマンス出来そう。


今まで沢山練習したんだ……きっと上手くいく。



(自分を信じよう……)
「……あ」



初めはこの曲が可愛すぎるからって恥ずかしさを感じた。
私には歌えそうにないと思った。


でも今は大好き。
数えきれないくらいの練習を重ねているうちに、曲に対して愛を抱くようになったんだ。

これが私の曲だ!って……胸張って歌える。


そんな気持ちを大切にしながら歌えば、きっとみてくれる人達にも私の思いが伝わるはず。

だから堂々とやれ。
精一杯やり遂げろ。


そう心で自分に言いながら位置についた。


だけど私の視線はある一角を捉えたまま動かない。



(どうして……)



もう直ぐイントロが始まるのに、私は出だしのポーズすらとっていなかった。

ただただソコに目を向けて……頭の中を疑問で埋め尽くす。



(どうしているの……天っ……)



◆9 Melody.END◆
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