第1章 暁闇
つまりは、好意的に接するつもりはないが、かといってあえて敵意を向けるわけでもないと言うことか。
全員が全員そうとは思わないが、少なくとも歌仙兼定、鶯丸に至っては話が通じる、そしてある程度の立て直しを望んでいると見て間違いなさそうだ。
「話すぎたね。とにかく、今日のところは離れへ戻ってくれ。君をよく思わないものがほとんどだ。契約は結んだが、万が一が起こっては寝たきりのままのものたちが、あまりに可哀想だ。…手当てを望む時は、僕か三日月が行こう。構わないかい?」
「いいだろう。他のものではどうなるか分からんからなぁ」
「俺としてはむしろ助かるよ。よろしく頼む」
歌仙兼定が立ち上がるのを合図に、そうして初めての顔合わせは終わった。
終始固まって動かなかったこんのすけを腕の中に抱え、広間を出る。まだ肌をさす殺気がないわけではない。気を張ったまま離れへと向かった。