第6章 贖罪
今思えば、きっと、もっと、何かできたはずなのだ。
「これは贖罪だ」
瞳を伏せる。揺れる瞳は、水に濡れていた。
「僕は彼を追い詰めた。そして君をも追い詰めた」
本当なら、僕がすべきだった。
歌仙は、あの日のことを思い出す。血の付いた刀。苦しそうな顔で藻掻く主だった人。
「あの人も、君も、止められるのはきっと僕だけだった」
僕だけだったはずなのに。
「最後の最後で、僕は、諦めた」
泣く資格など、どうしてあろうか。
そうさせたのは、紛れもなく自分の責任だ。歌仙は思う。
瞳をぎゅっと閉じた。再び開けたときには、ゆらめていた影はない。
「…あの人が、戻ってきた」
歌仙の言葉に、今剣が顔を上げる。穢れに包まれ、表情は読めない。
「この本丸を、僕たちで守ろう」