第5章 雨催い
鶯丸の言う通り、焼けば消滅とはいかないがある程度呪いの力を弱めることはできるだろう。だが、根本的な解決にはなっていない。何より、
何より、あの歌仙の表情を見ておいて、そう簡単に消してしまうことなどできなかった。
「焼くことは、できれば避けたい。本当は、歌仙に渡したいんだけど」
「今はやめておいた方がいい」
「だよなぁ…」
「君が持っておくというなら、何も言わないさ。ただ、気を付けてくれ」
鶯丸の忠告に強く頷く。恐らく俺に直接危害を加えることはできないはず。触れることはおろか、あれ以上近づくことはできないと思いたい。
歌仙が一代目に送った鈴。彼らの関係。毎晩見る夢。少しずつ明らかになる真実は、胸の痛みを増幅させた。
慕っていた主が変わってしまうというのは、どんな恐怖なのだろう。
慕われていた刀剣男士に見限られるというのは、どんな焦燥なのだろう。
答えは、いつも闇の中だ。