第1章 オトモダチ
二階堂真侑は物静かな奴だ。
休み時間には一人で本を読んでいる。
あいつとは高校三年間同じクラスだが、誰かと親しげに話している姿は、記憶が正しければ、無い。
むしろ、自分から周囲に壁を作っている様に見える。
俺も話をしたことはない。一度も、だ。
頭はかなりいい方だ。
テストは必ず上位10には入っている。
体は弱いらしく、体育の授業は欠席。
月一位のペースで遅刻もしてくる。
また、声もあまり発さない。
最後に聞いたのだって、・・・あれ?いつだった?
・・・。とまあ、こんな具合だ。
つまり、俺の中でのあいつは大きなものじゃないし、きっとあいつの中の俺も大きなものじゃないだろう。
そんなことを考えていたある日の事。