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短編集【庭球】

第73章 エンドロールをぶっとばせII〔ジャッカル桑原〕*


「束縛とかしたくねえけど…あんなに酒飲むの、俺の前だけにしてくれ」


私はこんなにも愛されている、その喜びが私を一気に絶頂に追いやる。
私を抱きしめて低く呻いたジャッカルも、一緒に登り詰めたのだと思う。
うん、と言った私の言葉は届いただろうか。


* *


窓のない部屋では時間感覚がまるでなくなってしまう。
気怠さの残る身体を起こして枕元の時計を見ると、十時半を少し過ぎたところだった。
何時間か眠っていたらしい。


「もうお昼になっちゃうね」
「だな…」


ジャッカルはふわ、とあくびをしてから目を擦って「シャワーするか?」と言った。
うん、と返しながらベッドから降りる。
バスタオルもバスローブも洗面所に置きっぱなしだ、素っ裸は恥ずかしいけれど仕方がないからこのままか。
申し訳程度に胸と下半身を隠して、小走りに洗面所へ向かう。
落ちていたバスローブを羽織って部屋を覗いた。
あ、下着を探しておかないと。


「ジャッカル、今日の予定は?」
「ん? 昨日から店休みにしてるから何もないぜ」
「じゃあさ、ここ出たらランチしようよ、ビールでも飲んで」


ジャッカルが心配そうに「俺はいいけど、大丈夫なのか? 二日酔いは」と尋ねてきたのを笑い飛ばす。
頭痛はずいぶん治まったし、吐き気はないし大丈夫だろう。
それに。


「大丈夫大丈夫! だってジャッカルの前でしかお酒飲めないんだから、ちゃんと飲んどかないと」


ぱちぱちと瞬きをしたジャッカルは、顔を真っ赤にして言った。


「記憶なくさない程度にな」



fin




◎あとがき

お読みいただき、ありがとうございました。
ずっと書きたかった前作の続き。
ずいぶん時間が経ってしまいましたが、ようやく書き終えることができました、いかがでしたでしょうか。

アラサー設定のお話なので、学生の恋愛とは違う大人っぽいセックスを書きたかったんですが、これがなかなか難しくて。
いろんな経験があるからこそお互いの愛の深さがよりわかる、というのが理想だったのですがね…圧倒的に筆力が足りない…
ただ、二人を幸せにしてあげることはできたと思うので、大目に見ていただけたらと思います。

少しでも楽しんでいただけますように。
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