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短編集【庭球】

第43章 えそらごと〔柳蓮二〕


深呼吸して、柳が返却した本をカウンター横の棚にしまって立ち上がった。
本棚へ小走りで向かって、一冊の本を手に取る。
図書カードに自分の名前を走り書いていたら、一つ上の欄に柳の名前があって、また心臓が波打った。


予定よりずいぶん読み進められなかった恋愛小説と重ねて、図書室を出た。
その本の重みを腕にずしりと感じながら、教室へ向かう階段を一段飛ばしで駆け上がる。

日本文学大全の第一巻。
将来の大学教授の隣にいるための、手始めの一冊、のつもりだ。


fin





◎あとがき

お読みいただき、ありがとうございました。
久々に書いた柳夢、いかがでしたか。

好きな子が石油王と結婚なんてのっぴきならないことを言い出したことに焦り、アラブ関連の本を借りてしまう参謀かわいい。
柳の将来は絶対大学教授だよね! というのは私の勝手な妄想ですが、結構いい線いってるんじゃないかと思っています。
あと「裏三強」っていう通称も絶対あると思う。笑

少しでも楽しんでいただけたら幸いです。
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