第5章 きみへ
俺が伊月の学校についた時には既に火は体育館を包んでいた。
「どういうことですか?」
「放火だそうだ。増田ペア、池田ペアは教師に生徒が全員いるかの確認しろ。笹塚は不審者の情報集め、後藤は伊月ちゃんのところへ行ってやれ。」
俺は部長の優しさに感謝して伊月を探しに行く。すると、見覚えのある姿が。確か伊月の友達の子だ。
「おい!伊月はどこだ?」
「………あ、伊月の……。あの、伊月がいないんです。さっきから探してるんですけど」
涙目になるその子。
おれはその子に大丈夫だと言い、増田たちのところへと行く。
「先輩!伊月ちゃんが………」
「分かってる!他にいねぇ奴は?」
「いないそうで……」
「あ、そういえば……………百夜先生は?」
女教師があたりを見渡して言った。今日来た特別な講師らしい。
「まさかまだ中に!?」
「私ならここにいますよ」
声がした方を見ると、20代前半の男と横に泥だらけの伊月の姿があった。