第5章 きみへ
その日は至って普通だった。
いつも通り伊月は寝起きの悪い後藤を起こし、朝ごはんを食べ、後藤より出ていくのが早い伊月は先に出て、ゴミを出して登校する。後藤はそのままご飯食べ続け、ふとテーブルの上に置かれた弁当箱ににやけ顔をする。
登校途中、クラスメートに会い一緒に登校。全くもって普通の日常。特別なことなど何も無かった。そう何も。
誰が悪いということはない。これは所謂" 事故"というものだ。そう事故。ただ単に運が悪かっただけなのだ。
まあ強いていうとするならば、
あれだけの人の運命を狂わせて、
あれだけの人を殺し、
また自分も殺しておいて、
のうのうと一人だけ幸せな普通の生活を
送ろうなんて
なんてムシのいい話だろうというところだろうか。