第4章 特別な存在
「ほらっ、かっぱらってきた。」
無事 営業を終えあたしはリンさんと部屋へ戻った
縁側に座るあたしにリンさんが大きな肉まんをポイっと投げる
「よいしょ、…はぁー疲れた。お前初日から少し張り切りすぎたんじゃねぇか?」
あたしが座る横にゴロンと寝転び肉まんを頬張る
「そう?……パク、、んっおいしい!」
「バカだなぁ。最初から飛ばしすぎると後でえらい目に合うぜ?蛙共にこき使われても知らねぇぞ。」
むしゃむしゃ肉まんを口に含むあたしにリンは呆れたように言った
「でも……」
「でもじゃねぇの!これから毎日働くんだぞ?ゆっくりやれよ、無理してぶっ倒れちまった方が誰かに迷惑かかんだろ。な?」
「………………」
たしかにリンさんの言う通り
あたしはとにかく早く仕事を覚えたいとしか考えていなかった
「そうだね。ありがとリンさん!」
なんだか嬉しい
家族の記憶が無い今、リンさんが自分のお姉さんだったらいいのになんて思ってしまった
その時、
ートントン
女部屋の戸を叩く音が響く
「、」
ハクの声だ
「おっ、ハクじゃん。」
首をぐいっと戸の方へ向けて言うリン
たしか仕事が終わったら顔を出すって言ってたっけ
「あたしちょっと行ってくるね。」
「あぁ、オレ先に寝とくからな。」
「うん。リンさん今日はありがとう。おやすみなさい。」
リンさんの笑顔に見送られあたしは戸を開けて部屋を出た