第10章 ミミズクの巣と妖怪の笑み
『…!国見さん』
「あぁ~あ、もう来ちゃった」
バルコニーにやってきたのは水をもって戻ってきた国見さんだった
「…やはりあなた方でしたか。彼女から離れてもらってもいいですか」
「えぇ~、やだ」
赤髪さんはあたしをまた抱き寄せた
それを見た国見さんはまたお兄さんを睨んだ
「離れてください」
「やだ」
断固あたしを離そうとしないお兄さんを見ていた国見さんは表情1つ変えないで、やだと答えた瞬間ゆっくり近づいてきた
でも、彼の背中から黒い何かが出ているように感じた
「おぉ~、前髪分け君怖いぃ~。彼女怖がっちゃうよぉ?」
「じゃあ、夜琉。10秒…目つぶっててくれない」
国見さんは、近づきながら飾りで付けていたアクセサリーを次々と外しそこら辺に落としていった
10秒つぶっててと言われたので、少し怯えながらもあたしは目を閉じた
「これで……怖がられないですよ」
という国見さんの言葉を聞いた後から、あたしの耳には聞いたことのない音が聞こえてきた
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太一が酒飲ましたおかげでうまく彼女に近づいたけど、やっぱあいつの近くで準備したのが失敗だったかね~
前髪分け君に言われてこの子、何ちゃんだっけ?素直に目ぇつぶっちゃって可愛い~
でもこの子連れてかないと俺が殺されるんだよね~
「・・・ッ!!」
おぅおぅ、前髪分け君結構アグレッシブ~
「危ないじゃん君~、いきなり顔面狙って回し蹴りとか~。しかも今パンツ見えたし」
「安心してください、これパンツじゃなくて普通のハーフパンツです!!」
「うわっ!!」
と、今度は持ってた水を俺にかけてきた
それで俺は彼女ちゃんから腕を離してしまった
『ほぁ!?』
「…10秒」
『あっ…はい』
あぁ~あ、とられちゃった