第10章 ミミズクの巣と妖怪の笑み
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お兄さんの手が離れたと思ったら今度は別の誰かに受け止められた。
ゆっくり目を開けると目の前に青いドレスの国見さん
「…10秒」
『あっ…はい』
もう目は開けてたけど、国見さんの顔を見て返事をした
「あぁ~あ、このスーツ高かったのにな~」
「ならそんなにダラダラ着ずにちゃんと着てくださいよ」
国見さんが珍しくツッコミを入れながらあたしの肩を抱き寄せて中に連れてこうとしてくれた
「酔いは?」
『あっ、なんかどっか行きました』
「…ならい…?!」
いつもの国見さんの答え方になったと思ったら、国見さんの表情が少し強張った
『国見さ…?』
「…久しぶりにお会いしたと思ったのに、この仕打ちはないんじゃないですか?白布さん」
国見さんの大きな身体で見えなかったけど、国見さんの後ろに薄い茶色っぽい色の髪の毛のあたしと身長同じくらいの小さい人がいた
「お前が大人しくその女の子を手放せばこんな仕打ちしなくて済んだんだぞ」
「・・・。」
白布さんと呼ばれたその人・・・たぶん国見さんより年上の人の言葉で国見さんは素直にあたしから離れた
『えっ…国見さ…』ドッ!!!
「うっ…!」
いきなり聞こえた低く鈍い音が聞こえて国見さんが膝から崩れたように倒れこんだ
『国見さん!?』
倒れた国見さんの後ろには、薄茶色のお兄さんともう1人あのオレンジ髪のお兄さんがいた
そのお兄さんたちの手には・・・
『じ・・・銃!?』
初めて生で見た!!えっ、日本にも銃ってあるの!?
ってかこのお兄さん達国見さんに何したの!?撃ったの!?撃ってないよね!?!?
「いや~、さすが賢二郎と太一のコンビ最強だね~。特に白布は元暗殺者なだけあって…」
「その話はやめてください。早くその女連れていきますよ」
拳銃を胸ポケットに入れた白布さんは後ろを振り返ってバルコニーを出て行った
「んじゃ、彼女ちゃん。一緒に行こうか」
と、後ろからの赤髪のお兄さんの声にびっくりして振り返った瞬間、重い音と共に後頭部に痛みが走った
あたしは、不敵な笑顔を浮かべている赤髪のお兄さんを見たのを最後に意識が遠退いた