第10章 ミミズクの巣と妖怪の笑み
「お飲み物はいかがですか?」
と、あたしの前に差し出された丸いお盆の上に並ぶカクテルグラス
それを持つのはオレンジっぽい?赤っぽい?そんな感じの長身のお兄さん。この人もくせっ毛か?
『あの、これは…お酒ですか?ならあたし飲めないんで…』
「大丈夫ですよ、ジュースです」
と、グラスを1つ渡されてしまった
こういうの最初にいらないとは言えるけど、もらってしまったら断れない性質で・・・
『…いただきます』
と、思わず呑んでしまった
でも、その直後あたしはとんでもないくらい頭がくらくらして吐きそうだった
『うっ…く…国見さ…コレ……なんですか…』
吐くのを必死にこらえてグラスを国見さんに渡す
国見さんは軽くそれを口に含んだ。でもすぐに近くに置いてあった空のグラスにそれを吐き出した
『うわ、汚い…』
「お前ワインのテイスティング知らねえのか…いやそれより、お前コレ誰にもらった!?」
『えっ…あのオレンジの大きなお兄さん…』
「お前コレ、度数50は超える酒だぞ!?」
『ハぇ!?うっ…吐きそ…』
「ちょ!!お前ココで吐くなよ、とりあえずバルコニーに出てろ。水持ってきてやる」
珍しく優しい国見さんに驚きつつあたしは口元を抑えながらバルコニーに行った
そこは誰もいないし静かだった
『ふぅ…気持ち悪い……』
と、バルコニーの柵のところに手を置いて下を向く
わぁ・・・ヤベえかも・・・
「へい彼女、どうしたの?」
と、誰かが話しかけてきた
話しかけてきたのは、今度は赤髪ツンツンのお兄さん
なんとも胡散臭い笑顔だ・・・
「一人なら、話しませんかァ?」