第10章 ミミズクの巣と妖怪の笑み
「はーいゴリラ共待たせたわね~」
「スガ君、ゴリラって言うのやめてっての!!!」
「あら、ゴリラをゴリラと言って何が悪いのよ。それよりお待ちかねのお姫様たちができたわよ」
と、扉を開いてあたしと国見さんを前に出した
国見さんは始終不愛想であたしは恥ずかしさのあまり国見さんの影に隠れた
「・・・ちょっと俺を盾にしないでよ」
『だっ…だって~』
「夜琉ちゃ…」
及川さんは座っていたソファからゆっくり立ち上がってあたしの前にきた
国見ちゃんは空気を呼んだようにその場からどいた
『あっ…あの、これ菅原さんが勝手に…』
「…よ」
『へ?』
「すっごく可愛いよ!!夜琉ちゃん!!凄い!!ホントにお姫様みたい!!!」
『うぇ?!及川さ…苦し…!』
「もう可愛いすぎる!!俺君を選んでよかった~♡」
『わ…分かりましたから、どいてください!!!』
どうやっても及川さんは離れてくれない
それどころか、及川さんの腕の力はどんどん強くなっていく
『ちょ…及川さ…!!』
「その辺にしとけ」
及川さんを止めてくれたのは岩泉さんだった
及川さんの襟を掴んであたしから引きはがしてくれた
あたしはドレスの裾を直しながら2人を見ていた
やっぱり何か険悪そう・・・
国見さんを女装させてまで行く梟谷のパーティってどんなだろう・・・