第9章 オネエ様と女子力
スガさんから出た言葉は予想外なものだった
さっきまで疲れ切っていた顔がキラキラと輝いていた
『えっ…あの…』
「あなた、お名前は?年いくつ?」
『えっ…天川夜琉です…高校2年の17です…』
「夜琉ちゃん!ちょっと及川どこで見つけたのよこんな可愛い娘!!きれいな顔立ちに束ねてても分かる流れるようなきれいなブラウンの髪、それにきれいなスタイルになかなか育った胸!!」
『うぇ!?』
スガさんは、そうやってあたしの身体や顔を順に触りながら解説のように語っていく。少なくとも周りの女の子より大きめの胸もしっかり鷲掴んで・・・
「でも、ノーメイクなのは気に入らないわね~。今度メイク方法教えてあげるわ。あっ、あたしは菅原孝支。これでも昔はモデルやってたのよ♡」
と、あたしの頬を撫でながらウインクをした菅原さんは、とってもかわいかった
思わずキュンとしてしまったくらいだ
・・・ホント、この業界のオネエというか男の娘達は可愛すぎて・・・
「んで、この子のドレスを作ってほしいと?」
「うん、そういうこと。あっ、山口君ありがとう」
及川さんは社長室にあった高そうなソファに座っていつの間にかくつろいでいた。
菅原さんの秘書みたいな人が及川さんにお茶を出してるし・・・
「…山口、ウェディングの予約って何時までだったかしら?」
「えっと、明後日の昼の13時に式場の予定です」
「よしいけるわ!山口、やっくん呼んで。この子のスタイリングをすぐに始めるわよ!!!」
と、菅原さんはすごく燃えていた
さっきまでのイライラが嘘のようにガッツポーズを決めて準備を始めた
・・・拝啓、明後日結婚式の花嫁さん
貴女の結婚式でドレスが届かなかったらすべてあたしのせいです。
申し訳ありません・・・