第7章 最初の演技とネコの店
『えっ、あぁこのネコですか?』
及川さんが言ったのはあたしのスマホについてるネコのストラップ
赤い石の入ったハートを抱えた白ネコにリボンがついている可愛いやつ
「うん、前夜琉ちゃんのスマホにLI〇E入れたときに見たんだけど可愛いなって思って。それってさ京都の有名な縁結びの神社の奴でしょ?」
『えっ?そーなんですか?』
「えっ?!知らないの!?」
『だってこれお母さんからもらったものですから』
と、スマホのストラップを振って見せた
これはお母さんがあたしにくれたものだった
これは夜琉の好きな人にあげてって言われたものだった
及川さんはそれも知っていた。ホストクラブの客にそういう話が好きな客がいるらしい
「それってさ片割れを誰かにあげると、その人と幸せを分かち合うとか結ばれるとか噂があるやつでしょ?」
『そー…だったような…』
「忘れてるの…?しかもそれ、片割れないから誰かにあげたんだよね?誰にあげたの?」
やけに興味津々な及川さん
でもあたしは・・・
『それが、あんまりよく覚えてないんですよ。どこで誰にあげたか覚えてないんですよねー』
と、猫を見ながらそういう
お母さんにもらったのは10年前。ちょうどお父さんが病気で入院してた時にもらった。
あたしが寂しくないようにとか、好きな人ができるようにお守りって言ってもらった
でも誰にあげたっけ・・・?