第7章 最初の演技とネコの店
地下駐車場に行くと、前まで送り迎えに使っていた大きな白いG〇-Rが止まっていた
あれ以来あたしは及川さんからのお迎えは断固拒否していた
だっていつも校門前に迎えに来るんだよ!?
女の子たちの視線と質問攻めが日に日に恐ろしくなっていったのだ
そんなの毎日してたらこっちがしんどいし、いつばれるか分からないから毎日冷や冷やしないといけないし!!
『あれ?今日はあの運転手さんは?』
「狂犬ちゃんは今日はお休み。今日はこの及川さんが紫乃…あっいや、夜琉ちゃんの運転手♡」
『そーですか…』
「その不安顔やめて!!」
『ハァ…京谷さんがよかった…』
「ガチトーンで言うのやめて!!」
駐車場に及川さんとあたしの争いの声とヒールが奏でるコンクリートの音がよく響いていた
・・・てか早く開けろよ車・・・
「はぁ…それじゃ気を取り直して…お乗りください、お嬢様」
G〇-Rの助手席のドアを開けてあたしをエスコート・・・される前に助手席に飛び乗った
『及川さんお腹すきました。早く出して下さい』
「ホンット可愛くないね…夜琉ちゃん。」
『よく言われます。』
「はぁ……そこはホントに似てないね…」
『えっ?何ですか?』
「なんでもないよ」
と、ドアをバンッ!!と閉めて自身は運転席に座った
エンジンをかけてシートベルトを締めた
「じゃあ、行くよ」
と、及川さんはあたしの顔を見てニコってするけど、
『いいから早く出してください』
窓の外を見る
及川さんはそれ以降何も言わなくなった
エンジン音と及川さんが好きそうなJ‐POPとあたしたちの沈黙が車内に流れていた