第7章 最初の演技とネコの店
「おいバカ共、ベーターの前で揉めるな。とっとと出ろ」
煙草を銜えながらソファでスマホをいじっている松川さんがちょっと低めの声でお怒りになる
それであたしたちは一応エレベーター前から離れた
『松川さんも言ってください!!このご飯泥棒に!!』
「まっつんも言ってよ、この聞き分けのないおこちゃまに!!」
「同時にしゃべるな…うっとうしい…うるせえから2人で飯でも行って来い。今日はまだ10時だしどっかしら店やってるだろ」
『あっ、そうですね。及川さんゴチです』
「なんでオレ?!」
『ご飯代返してください』
「だからそれは!!」
「だからうっせえっての、いちいち絡むな夜琉」
『へーい』
「えーん松つん〜…」
と、松川さんに抱きつく及川さんを無視してあたしはカバンを持ち直してエレベーターに乗ろうとした
及川さんと松川さんに背を向けていると、2人の声がかすかに聞こえた
「・・・・・・したよ、きっと・・・は夜琉ちゃんを・・・くる。俺は・・・を見て・・・。みんなにも伝えて・・・・・・。」
・・・あたしのこと?
なにが、来る?何を伝えるの?
まさか・・・及川さんのプリン勝手に食べたことばれた?
本社室の冷蔵庫に入っていた超有名店の限定プリンを食べちゃって、食べちゃってから及川さんのモノだって気が付いてコンビニの安いプリン入れといたアレがばれたか?!
「夜琉ちゃ~ん♡」
『ニュヒャ!?!?』
「にゅひゃ?じゃあご飯行こうか」
『おごってくれるんですか?あざっず』
「いいけど、俺のお気に入りの店だけどいい?」
『おごってくれるならどこでもいいです』
「よし行こう♪」
『はい、分かりましたから肩組むのやめてください』
と言いながら一緒にエレベーターに乗って地下の駐車場に向かった