第7章 最初の演技とネコの店
ポーン・・・
エレベーターが2階にたどり着く音と共に扉がゆっくり開く
それが待ちきれないあたしは少しの隙間をこじ開けて本社室に入った
『お待たせしました~♡』
「よぉ、今日は早かったな。」
『だってお給料ですもん♡』
「はぁ…、ほらよ。」
と、松川さんの手から茶色い封筒を渡された
あたしは受け取って早々中身をこっそり確認した
(ホントはそんなことしちゃいけません・・・)
・・・・・・これは、見たこともないほどの大量の諭吉が一列に並んでた
1・・・10・・・20・・・ひぃ~・・・!!!!
数えるのが怖くなってきた
『あ…ありがとうございます…』
「あ?なんか大人しいな…」
『いや…なんか恐ろしくて…』
「ん?返金するか?」
『それはないです』
と、あたしは急いで鞄の中に諭吉の群れをしまった
松川さんにお疲れ様ですと告げて、部屋を出ようとした
すると、誰かがエレベーターに乗って本社室にやってきた
扉が開くのを待っていると目の前に現れたのは、あの不法侵入者だった
「あっ、紫乃ちゃん。お疲れ様」
『出た、納豆泥棒』
「もぉ!先月の話をいちいちぶり返さないの!!ちゃんと返したでしょ?!納豆と卵!!」
『まだご飯返してもらってないです』
「そんな小っちゃいこといつまでも引きずってたらモテないぞ!!」
『結構です!!人んちのご飯勝手に食うバカな大人よりはモテると思いますけど~』
「はぁ!?勝手じゃないし!!ちゃんと書置きしたじゃん!!」
『書置きで許されるか!!!』
と、エレベーター前で大ゲンカ
どっかの階でエレベーター待ってる音がするけど、目の前にいるこのバカが最高にムカつくし!!!