第39章 愛しい子 *最終章*
刑務所の前で車を停めてから数分
現在の時間は13:53
約束の時間は14時で、それが近づくたびにあたしの心臓がドキドキしてきた。無意味にスマホを弄ったりしていた
「…おい」
『はい?』
「もしあいつ来たら…俺だけ降りるからお前は後で出て来い。実は迎えに来るの俺だけって言ってあるんだ。」
『おぉ…!!』
そこ言葉だけであたしは岩泉さんの意図を察したから笑顔で了解した。
そして、約束の時間・・・
大きな柵の門がまた開いた。
岩泉さんはそれを確認してあたしを置いて車を降りた。あたしはさっき後部座席に移動していたから、まだ気づかれてない
なんか、久々に会ったのに2人雰囲気変わってない
岩泉さんは何度か面会に来てたからかもしれないけど・・・
あっ・・・岩泉さんがこっち見てる
それが合図って言われてたから、あたしはカバンを手にゆっくり車から降りた
ドアを開けた瞬間、風があたしの切りたての髪を靡かせた
ふわりと獅音さんにしてもらったシャンプーの香りがあたしの鼻をくすぐった
車を降りて彼らに近づいていく
岩泉さんが言った通り、彼はとっても驚いている。もう今にも泣いてしまいそうな・・・
彼は、驚いたままあたしにゆっくりと歩み寄ってきた
足がおぼついているけど、それでも確実にあたしの目の前に来た
「・・・えっ・・・、夜琉・・・」
『・・・お久しぶりです、・・・及川さん』