第39章 愛しい子 *最終章*
目の前にいる及川さんは、1年前よりもだいぶ痩せていた
綺麗だった髪をちょっと傷んでる。
でも、その瞳は及川さんのままだった
『髪・・・切ったんです。どうですか…?』
「・・・ッ!!」
及川さんは、案の定あたしの言葉で大号泣
涙を必死に拭きながらあたしの髪の先をつまんだ
「…そん、な…にッ…似合…ッ…似合うに決まってんじゃ…だて、今俺…紫乃さんが…いっ…、グスッ…岩ちゃんでしょ!?こんなことさせたの!!!」
「俺とこいつだ、びっくりさせてやろうってな…」
『どっきり大成功ですね!!』
もぉ・・・!!と怒る及川さんだったけど、ついに涙をぬぐうことをやめた及川さんが、あたしに抱き着いてきた
及川さんは、殺人未遂容疑と脅迫罪のせいで5年の懲役が科せられていた。でも、あたしと岩泉さんが木兎さんや菅原さんに頭を下げて回り彼の処分を軽くしてもらったのだ。
「うぐっ…夜琉…ッ…あっ、ありがと…ホンッ…ト、に…ありがとぉ!!」
『いえ、あたしは信じてましたから…』
そう言ってあたしは及川さんの背中にポンと手を置いて、そのまま背中を擦る。岩泉さんもそれを見て及川さんの肩に手を置いた