第39章 愛しい子 *最終章*
時間は11:07
約束の時間より7分の遅刻・・・
たどり着いた美容室は、本当に《Mother》のビルの隣
本社ビルに合わせた外装と看板がよく目立っている
ふとあたしは、そんなMotherの1階部分を見つめた
Motherのビルの入り口を丁寧にお辞儀をしながらドアを開けている人。・・・あたしの、父親になった彼だ
岩泉さんは、あの後すぐに青城を抜けて仕事を探していたんだけど、その時丁度Motherのフロントマンをしていた茂庭さんが辞めちゃったらしいから、その空きを埋めるために岩泉さんに声をかけたらしい。
茂庭さんは、本業だった警察さんを本気でやるみたいで菅原さんに「あいつらをもっと鍛えたいから!!」と豪語したらしい
いつもとは違う大人の笑顔を見せているからちょっと新鮮だった。
・・・なんて言ってる場合じゃねえっての!!
あたしは、美容室の方に行った
カラン・・・
『こ…こんにちわ…』
ガラス張りの扉を開けると、中はLEDライトの白い光で満ちた綺麗な店内だった。もう中には数人が髪を弄ってもらっている女の人達がいた
「いらっしゃい、夜琉ちゃん」
『お久しぶりです、獅音さん』
「やっと来たか、遅刻娘。」
あたしを出迎えてくれたのは、白鳥沢にいた大平獅音さんと瀬見英太さん。
この美容室の名前は、《ビューティーサロン Swan》
白鳥沢の残党だった人達がここの店員として働いているのだ。
でも五色さんと白布さん、天童さんは別だ。
五色さんはさっき見た通りアイドルになって、白布さんは牛島さんが出所した時にすぐにまた彼の元に戻って今は彼のマネージャーをしている。
天童さんは・・・
やっぱり殺人と薬の前科のせいでお咎めは免れられなくて、無期懲役になったらしい(それも黒尾さんに聞いた)
それに、天童さんは自分から面会謝絶を頼んだらしい。知り合いに会ったら外に出たいって思っちゃうからだと言っていた