第38章 ワガママな子
かっこよく登場した澤村さんとその後ろから髭のお兄さん、田中さん西谷さんが屋上に上がってきた
「…でも、夜琉…お前、どうして…」
『それが…あたしが落ちたところに大きなマットがあってそこに澤村さんや田中さん達が…』
身体を起こして夜琉に寄り添うように黒尾が夜琉に尋ねる。
夜琉が落とされた場所の下の6階付近には外に出られるバルコニーが設置されていた。そこにあらかじめ澤村を含めた4人が待機しており落ちてきた夜琉を助けたのだった
「それも、すべて及川についていた影山のおかげだけどな」
「うっす」
澤村との会話を聞いた及川が彼の前に踊り出てきた
「ちょっと待ってよ…トビオ…、お前いつから…」
「…ムショに入ってた時っす。及川さんに出してもらう前にカラスのボスの説得で俺は、カラスに入りました。」
「…くそ、だからお前あの時…「彼女は俺に殺させろ」って言ったのか…最初からこのために…。……ふふ、ハハ…アッハハハ!!!」
及川が今まで見せたことのないくらい悔しそうな顔をした。
月島が、「伊達班に連絡しました」という声がしたと思ったら、及川は今度は狂ったように笑い出した
「ハハ…俺は、何をしてたんだろ…トビオなんかに利用されて…しかも…俺のしてきたことは全部無駄って…何コレ…」
及川が自分のしてきたことに対しての怒りや後悔が相俟って及川は混乱しているようだった
それを見た夜琉が、黒尾のそばから離れて今度は及川のそばへと近づいた
「…何?夜琉ちゃん、君だって俺のこと…さすがに嫌いになったでしょ?ホントに殺そうとしたなんて…」『…及川さんは…』
及川さんの言葉を遮り夜琉はスゥ…ッと息を吸って及川に向かって叫んだ
『・・・及川さんはバカですか!?』