第38章 ワガママな子
「ったく王様が回りくどいことしなければよかったのに…」
「うっせえよ、そういう命令だろ…」
日向はあたしのそばに来ている間に、ライフルを持つ月島と銃を持つ影山が近づいて話し始めた。そして、それぞれ天童、大将の方へ銃を向けた
「天童覚、貴方には14の殺人容疑、並びに薬物法違反の罪により逮捕状が出ています」
「そして大将優、お前には井闥山組組員としての傷害罪があり、それによる逮捕状が出ている」
2人の言葉に、撃たれてさすがにぐったりしている天童がニヤリとする。
「逮捕ぉ?君たちみたいなガキに何の権限があるの?」
「権限なら…ココに」
と、2人は着ていた真っ黒なジャケットの襟元を折って見せた。そこには黒い羽根を広げたカラスのバッチが輝いていた
「僕らは、こう見えて組織犯罪対策部に属する秘密警察なんですよ」
「秘密警察組織、〈カラス〉って知りませんか?」
〈カラス〉その名を聞いた瞬間、夜琉以外の全員が納得したような表情を浮かべた。黒尾はそういうことかよ…と小さくつぶやいた
『…じゃあ、澤村さん達も…?』
「夜琉ちゃんを助けた澤村さん達は、俺らの上司だよ」
「マジかお前ら…なんで俺にも言わねえんだよ…」
「敵を騙すにはまず味方からですよ」
月島特有の嫌味な顔を黒尾に向けて嘲笑っているようにも見える。そんなことをしていると、名が上がった澤村が現れた
「そこまでだお前ら。秘密警察カラスの名のもとにお前たちを起訴する」