第38章 ワガママな子
「えっ…」
「なっ…」
「…夜琉?」
その場にいた夜琉以外の全員が夜琉が落ちた時よりも驚いていた。
屋上から落とされて死んだと思っていた夜琉が今まさに及川の名を叫び屋上のドアのところに立っているのだ
「夜琉…お前ッ…」
『黒尾さん!!…よかった』
夜琉はまず、傷だらけの黒尾のもとに行った。自分の恋人である黒尾だからか、よかったと涙を流した
「よかった…じゃ、ねえ…よ!!心配かけやがって…」
『ごめんなさ…でも、あの人が…』
と、夜琉が影山の方を見る
だがその瞬間、夜琉の後ろでカチャッという音がした。黒尾を襲った大将が夜琉に銃を向けていた
「生きてるってんなら、俺がとどめを刺してやる…!!」
「クッソ…テメエ蛇野郎…!!」
傷だらけではあっても彼女を守ろうとする黒尾だが、黒尾が動く前に銃声が鳴り響いた
でも、大将が撃ったのではなかった。大将が持っていた銃は銃声の後に屋上に落ちたからである
「うぉおお!!!当たったーー!!」
「当たるに決まってるデショ…」
突然屋上に響いたのは、その場にいた大人たちのモノではなかった。屋上のドアのある場所のさらに上からだった
「夜琉ちゃん!!大丈夫?」
上にいたのは、男の娘アイドルの日向翔陽と、金の王子月島蛍だった。2人は姿を現すとその場にいた大人達は状況がイマイチ呑み込めていなかった。なぜここにアイドルとモデルがいるのかと・・・
「クソッ!!」
しかし、目的を果たさなければいけない大将は懐にしまっていた拳銃を取り出し再び夜琉に向けた。それをいち早く察知した月島が持っていたライフルを向けるが、それより先にそばにいた影山飛雄が持っていた銃で大将の手にあった拳銃を弾いた